パーキンソン病や慢性硬膜下血腫などが
原因で歩行が困難になることがあります
歩行障害はパーキンソン病や慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症のなどが原因で起こります。
歩行障害に加え足が力が入らない、手足がしびれる、手足の冷える、もの忘れなどの症状が合併して起こる場合もあります。
さまざまな原因が考えられますが、重篤な疾患が潜んでいるケースも多いため早めの受診をおすすめいたします。
早期発見、早期の治療開始により改善するケースもありますので、次のような症状がある方は当院を受診ください。
必要によりMRI検査が必要になった場合でも、MRI機器を院内に導入しておりますので、当日の検査が可能です。
次のような症状がある方は当院を受診ください
- 足が上がらない。摺り足になってしまう
- 前かがみ気味で歩行が小刻みになってしまう
- 歩き出しの際の一歩が出づらい
- 方向転換をする際にふらついてしまう
- 直進するのが難しい
- 片方の足が動きづらくなった
パーキンソン病について
パーキンソン病は、加齢や遺伝的要因、環境要因などが関与する複雑な疾患で、中枢神経系の慢性的な進行性障害です。
脳の特定領域でドーパミンという神経伝達物質の生産が減少することによって引き起こされ、主に運動の制御に関連する症状が出現し、歩行障害や手足の震え、筋肉の硬直、体のバランスの不安定化などの症状が起こります。
パーキンソン病の治療にはいくつかの方法があり、薬物療法での症状の管理、手術での症状の緩和、リハビリテーションでの機能改善などがあります。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、頭部外傷や頭蓋内手術などの外傷性原因によって引き起こされる血腫の一種で、脳を覆う外層の膜である『硬膜』の下に血液が蓄積する疾患です。
硬膜下に貯まぅた血液が脳を圧迫し、さまざまな症状が引き起こされます。
症状は、血腫のサイズや発生した位置によって異なりますが、頭痛、意識の混濁や混乱、吐き気や嘔吐、視覚障害、歩行困難、てんかん発作などを起こします。
慢性硬膜下血腫は急速な症状の進行を示すことが少なく、症状の進行とともに徐々に顕著になることがあります。そのまま放置することで血腫が増大し、脳により大きな圧迫を与える可能性があります。
正常圧水頭症
正常圧水頭症は、脳脊髄液が脳室内に蓄積し、脳の圧力を増加させる状態で、高齢者の方に多くみられます。
歩行障害や認知機能の低下、尿失禁などの症状があり、明確な原因は特定されておりませんが、主に以下のようなことが関与しているのではないかと考えられています。
- 脳脊髄液の循環の障害
- 脳脊髄液の吸収の障害
- 脳室内の腫瘍や出血などの異常
- 他の脳の疾患や外傷の後遺症
診断は、神経学的評価、MRI検査、脳脊髄液圧測定などで行います。
脳梗塞
脳を栄養する血管が詰まり、脳細胞に十分な血液が供給されなくなる病気は、その詰まりの位置や影響の広がりによって、重症度や予後が大きく異なります。
詰まりの箇所がどこであるか、それによってどれだけの脳細胞に血液が届かなくなるか、また影響を受ける部分が脳の重要な機能を担っているかどうかによっても、病気の重篤さが変わります。
脳梗塞について詳しくは下記からご覧いただけます。
脳出血
脳を栄養する血管が破れ、脳内で出血が生じ、その周囲の脳組織が損傷を受ける病気は、脳出血と呼ばれます。
出血した部位や出血量によって、病気の重症度や予後が異なります。
脳出血は、さまざまな頭蓋内の原因によって引き起こされます。
脳出血について詳しくは下記からご覧いただけます。
脳腫瘍
脳腫瘍は、原発性(脳内で発生する)または転移性(他の部位から脳に転移する)のいずれかで発生し、その種類は多岐にわたり、良性から悪性まで様々です。
良性腫瘍は通常、成長が遅く、近隣組織を圧迫することがありますが、他の部位への転移はめったに見られません。
一方、悪性腫瘍は成長が速く、周囲の正常な組織に浸潤する傾向があり、再発しやすい特徴があります。
他の疾患同様、歩行障害の他、頭痛や吐き気と嘔吐、、視覚障害、感覚異常、運動障害、言語障害などの症状が現れます。
脊髄小脳変性症
脊髄小脳変性症は、主に小脳と脊髄に影響を及ぼす疾患で神経変性疾患の一つです。遺伝子の異常によって引き起こされることが殆どです。
数十種類のタイプがあり、それぞれが異なる遺伝子の変異に関連しています。
これらの遺伝子変異によって、小脳や脊髄の神経細胞が徐々に損傷されることで、運動の制御が困難になります。
その結果、歩行障害などの運動失調や、筋肉の萎縮、言語障害、認知機能の低下などの症状が現れます。
頚椎症性脊髄症
頚椎症性脊髄症は、頚椎(首の部分)の椎間板や椎骨に変性が生じ、脊髄に圧迫や損傷が起こる疾患で、体の経年の変化によって引き起こされ、脊髄にかかる圧力が増大し脊髄の機能に障害を引き起こします。
その結果、脊髄の圧迫が下半身の筋力や感覚に影響を与え、歩行困難や手や腕の筋力低下、感覚異常が生じます。
脊髄圧迫の程度により進行度や症状の重症度が異なりますが、治療方法は、薬物療法、理学療法、手術などがあります。
腰部脊柱管狭窄
腰部脊柱管狭窄は、脊髄と神経を取り巻く骨の管である脊柱管が狭窄し脊髄や神経根に圧迫がかかる状態を指します。
この狭窄によって脊髄や神経根に対する血液供給が制限され神経機能が妨げられます。
それにより腰痛や下肢の筋力低下、しびれ、感覚異常、足の筋力低下による歩行障害など生じることがあります。
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、手足、のど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々に痩せて力がなくなっていく病気です。
筋肉自体の病気ではなく、筋肉を動作させ運動を司る神経(運動ニューロン)が障害をうけます。そのため脳から『手足を動かす』などの命令が伝達されなくなり、力が弱くなり、その結果、筋肉が痩せていきます。
日本国内の場合、1年間で罹患する割合は人口10万人当たり平均2.2人で、昨今は増加傾向です。
罹患率の男女比は男性が女性に比べて1.3~1.5倍男性にやや多く、中年以降いずれの年齢の人でも罹ることがありますが、最もかかりやすい年齢は60~70代です。
原因はまだ十分解明されておらず、神経の老化との関連や興奮性アミノ酸の代謝異常、酸化ストレス、タンパク質の分解障害などといったさまざまな学説があります。
多くの場合、手指の使いにくさや肘から先の筋肉が痩せ、力が弱くなることで始まり、話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状や、足の筋肉がやせて歩行障害で始まることもあります。
歩行障害の診断
日常の生活の中で、歩行についてどのような症状や悩みが生じているのかをお聞かせいただき問診します。
必要に応じて、実際に歩行を行っていただき、その様子を観察することもあります。
歩行障害の原因が脳である可能性があると考えられるときは、MRI検査で脳の状態を詳細に調べます。